クラスタリングとは? 手法やメリット・デメリットを解説
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- 公開日
- 2025.08.22
アンケート調査を実施しても、集まったデータの分析方法に悩むことは少なくありません。
数値で回答されたデータは比較的整理しやすい一方で、自由記述や多様な回答はどうまとめればよいか迷う方も多いでしょう。
そのようなときに役立つのが、クラスタリングという手法です。
クラスタリングはデータを特徴ごとに自動でグループ化し、新しい発見や仮説の検討につながります。
本記事ではクラスタリングの基本的な考え方や、分類との違い、実務での活用方法までを分かりやすく解説します。
アンケート分析や顧客データ活用に課題を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
クラスタリングとは?
クラスタリングとは、データを類似性に基づいてグループ化する手法のことです。
事前に正解ラベルを与えるのではなく、データが持つ特徴や傾向を基に自動的に分類します。
このようにラベルなしのデータを扱う点から、機械学習の中では「教師なし学習」に位置づけられています。
分析対象を「クラスタ」と呼び、全体を分ける作業は「クラスタ分析」「データクラスタリング」とも表現されます。
例えば、アンケート回答をクラスタリングすると、似た意見を持つ回答者同士をグループ化することが可能です。
顧客データでは購買行動や関心に応じてセグメントを分け、マーケティング戦略に生かすこともできます。
分類との違いは?
クラスタリングとよく比較されるのが「分類」です。
分類は教師あり学習に当たり、正解ラベルが付いたデータを基に学習させる仕組みです。
例えば、過去のメールを「スパム」か「通常」に分ける学習を行えば、新しいメールを自動でスパムかどうか判定が可能です。
一方、クラスタリングは教師なし学習で、ラベルが付いていないデータを特徴に基づいてグループ化します。
またそれぞれの目的も違いの一つです。
分類は「既存のカテゴリに新しいデータを割り当てる」ことが中心ですが、クラスタリングは「未知のパターンやグループを発見する」ことに重点があります。
例えば、顧客データをクラスタリングすれば、購買行動や嗜好に基づいて新しい顧客層を見つけられます。
その上で、発見したグループを基に分類モデルを作れば、より精度の高いターゲティングが可能になるのです。
両者を組み合わせることで、実務での分析精度や施策効果を高められます。
クラスタリングを取り入れるメリット
クラスタリングを導入すると、多くの利点が期待できます。
具体的な効果については次で詳しく解説します。
ラベルを付ける必要がない
クラスタリングは教師なし学習に分類され、データに正解ラベルを付ける必要がありません。
従来の教師あり学習では、膨大なデータに対して一つひとつ正解ラベルを設定する作業が必要で、人手と時間、費用がかかるのが難点です。
クラスタリングはこの工程を省けるため、効率的に大規模データを処理でき、分析の初期段階で大きなメリットを発揮します。
例えば、アンケートの自由回答は表現が多様でラベル化が困難ですが、クラスタリングを使えば類似の意見を自動でまとめられます。
顧客データでも、購買行動の傾向から自然にグループ化できるため、分析のスピードとコスト削減に直結します。
結果として、限られたリソースでも迅速な意思決定が実現可能です。
セグメンテーション(市場細分化)ができる
クラスタリングは、顧客や市場を複数の特徴に基づいて細分化(セグメンテーション)できる点で有効です。
性別、年齢、趣味嗜好といった属性を基に顧客を自動でグループ化すれば、それぞれに合った商品やサービスを的確に届けられます。
例えば、20代のファッション志向層と、価格重視の家庭層を分けてキャンペーンを設計すれば、無駄のないプロモーションが実現します。
クラスタリングにより顧客の潜在的なニーズを把握できるため、マーケティング施策の精度が高まり、長期的な顧客満足度の向上にもつながります。
多様化する消費者ニーズに対応するための有力な手法といえるでしょう。
競合他社との差別化に役立てられる
市場調査にクラスタリングを取り入れると、競合他社との差別化を図る戦略にも生かせます。
顧客や市場を細かく分析することで、自社ならではの強みや独自のポジションを見つけやすくなるからです。
例えば、同じ商品カテゴリーでも「価格に敏感な層」「デザインを重視する層」といった異なるグループを特定できれば、自社の強みを打ち出したアプローチが可能になります。
さらに、未開拓の市場や新しい需要を発見する手がかりにもなり、競合優位性の確立につながります。
万能な方法ではありませんが、データを戦略的に読み解くための有効な手段です。
適切なテストマーケットを選べる
新商品の投入やサービス改善を行う際、テストマーケットの選定は重要です。
クラスタリングを使えば、異質性と網羅性を考慮した適切な市場を事前に抽出できます。
少数の市場で試験的に施策を行い、その反応を分析することで、本格展開のリスクを抑えられます。
例えば、新商品を全国展開する前に、購買行動が異なる複数のクラスタを代表する地域を選び、販売テストを実施する方法です。
これにより、効果的なマーケティング施策を検証でき、費用対効果を高められます。
クラスタリングはテストの精度を向上させ、失敗コストの軽減に役立つ実務的なメリットを持っています。
新たなパターンやグループが見つかる
クラスタリングの大きな利点は、従来のカテゴリ分けでは見つけにくい潜在的なパターンや未知のグループを発見できることです。
データを類似性に基づいて自動でグループ化するため、人間の主観や既存のラベルにとらわれない分析が可能になります。
例えば、顧客データを分析すると、従来の「年齢」「性別」といった軸では見えなかった新しい購買層を特定できることがあります。
これにより新規市場の開拓や新しい研究テーマの抽出につながるのです。
また、医療では症例データを基に未知の疾患グループを見つける研究も進められています。
ただし、発見されたパターンはあくまで仮説であり、その後の検証が必要です。
データに基づいた意思決定の出発点として有効に活用できるのが、クラスタリングの強みです。
異常検知・ノイズ除去にも使える
クラスタリングは、異常検知やノイズ除去にも活用できます。
データの大部分を構成する主要なクラスタから外れた要素を「異常」として捉えることで、不正利用や設備の故障などを早期に検出できるのです。
例えば、クレジットカードの不正利用検知では、通常の利用パターンから外れた取引をクラスタリングで見つける手法が使われています。
また製造業ではセンサー情報を解析して設備異常を検知するケースもあります。
さらに、ノイズデータを除外することで、機械学習モデルに与える学習データの質を改善でき、精度や安定性の向上に貢献することも可能です。
ただし、クラスタリング単独では誤検知のリスクもあるため、他の手法と組み合わせて利用することが重要です。
クラスタリングを取り入れるデメリット
クラスタリングには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。
データの性質や規模によって向き不向きがあるため、利点と欠点の両面を理解した上で活用することが大切です。
計算が多くなりすぎる
クラスタリングの代表的な課題の一つが、計算コストの高さです。
特に階層的クラスタリングは、データ同士の距離を全て計算する必要があり、データ量が多くなると膨大な計算が発生します。
ビッグデータを扱う場合には処理が追いつかず、実用が難しいケースもあります。
一方で、k-means法のように比較的軽量な手法も存在しますが、それでもデータ数が増えれば計算負荷は無視できません。
そのため、並列処理やサンプリングといった工夫で処理時間を短縮する方法が検討されています。
実務においては、分析の目的に応じて適切な手法を選び、計算コストと分析精度のバランスを取ることが求められます。
クラスタリングの評価が難しい
クラスタリングのもう一つのデメリットは、結果の評価が難しい点です。
教師なし学習であるため「正解ラベル」が存在せず、クラスタ分けの良し悪しを客観的に測る明確な基準がありません。
一般的には、クラスタのまとまり具合を測る「シルエット係数」や、クラスタ数を決める際に使われる「エルボー法」といった指標が利用されます。
しかし、これらはあくまで目安であり、絶対的な基準ではありません。
実務では、複数の手法を比較したり、専門家の知見を取り入れたりして判断する必要があります。
顧客分類や異常検知などでは、クラスタの解釈が人間の主観に左右されることも多いため、評価の難しさは常に課題となります。
クラスタリングの種類
クラスタリングには複数の種類があり、それぞれ特徴や適した場面が異なります。
ここからは、代表的な手法を順に解説していきます。
階層的クラスタリング
階層的クラスタリングは、データの類似度が近いものから順にまとめ上げ、最終的に樹形図(デンドログラム)として可視化する手法です。
逆に「距離が遠いものを分ける」と表現することもできます。
少量のデータで有効に使えるのが特徴で、顧客分析やバイオ分野などでも活用されています。
代表的な計算手法には、ウォード法・群平均法・最短距離法・最長距離法があります。
ウォード法
ウォード法は、階層的クラスタリングの中でも最も広く使われる手法の一つです。
クラスタ間を統合する際に「平方和(データと平均値の差を二乗した和)」が最も小さくなる組み合わせを選ぶという特徴があります。
これにより、クラスタ内のまとまりを保ちながら全体をバランスよく分類できる点が評価されています。
市場調査やアンケート分析においては、似た意見を持つ回答者を自然にグループ化でき、偏りの少ない結果を得やすいのがメリットです。
他の手法に比べて安定性が高く、実務での利用に向いています。
複雑な数式を理解せずとも、「できるだけバランス良くグループを作る方法」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
群平均法
群平均法は、クラスタ間の全ての組み合わせの距離を平均して計算する方法です。
個々のデータ同士の距離ではなく、クラスタ全体の平均的な距離を基準にするため、外れ値の影響を受けにくいという特徴があります。
その安定性から、顧客データやマーケティング分析など、幅広い実務に活用されます。
他の手法と比較すると、最短距離法よりも外れ値に強く、最長距離法よりも極端なばらつきが抑えられます。
最短距離法
最短距離法は、クラスタ間で最も近いデータ同士の距離を基準に統合していく手法です。
計算がシンプルで直感的に理解しやすいことから、小規模データでの利用に適しています。
一方で、外れ値に弱いというデメリットがあります。
極端に離れたデータが存在すると、クラスタが不自然に歪んでしまうことがあるのです。
例えば、通常は近い位置にある顧客群が、一つの外れ値によって別のクラスタに巻き込まれる可能性があります。
そのため、利用場面を選びながら適用することが大切です。
長所と短所を理解した上で、小規模な分析や初期的なデータ把握に活用すると有効です。
最長距離法
最長距離法は、クラスタ間の全ての距離のうち最も長い距離を基準に統合する手法です。
最短距離法と対になる考え方であり、計算自体は単純で理解しやすいのが特徴です。
しかし、最短距離法と同様に外れ値に弱い点があります。
離れたデータが存在するとクラスタ全体の距離が大きく引き伸ばされ、結果として不自然なグループ化になる可能性があります。
そのため、実務では小規模データの解析や簡易的なクラスタリングに利用されることが多いです。
他の手法との比較を行い、データの特性に応じて使い分けることが重要です。
非階層クラスタリング
非階層クラスタリングは、階層構造を作らずにデータをクラスタへ分けていく手法です。
最適化関数を基準に反復計算を行い、事前に決めた数のクラスタへ収束させます。
大量のデータを効率的に処理できるため、ビッグデータ分析に適しているのが特徴です。
代表的な手法として「k-means法」が広く利用されているため、次で詳しく解説します。
k-means法(k平均法)
k-means法は、非階層クラスタリングを代表するアルゴリズムです。
あらかじめ指定したk個のクラスタにデータを分類し、各クラスタの「平均(重心)」を基準に分けていく仕組みとなっています。
アルゴリズムの流れはシンプルで、まずランダムに初期の重心を設定。
その後、各データを最も近い重心へ割り当て、クラスタの平均値を新しい重心として更新しながら繰り返し計算を行います。
最終的には結果が安定し、クラスタが徐々に最適化されていくのが特徴です。
計算効率が高くシンプルな点から、ビッグデータ分析や顧客セグメントの抽出、需要予測など幅広い分野で活用されています。
ただし初期値に依存する性質があり、結果が変動する場合もあるでしょう。
その課題を補うために「k-means++」と呼ばれる改良版が考案され、より安定したクラスタリングが実現できるようになっています。
ハードクラスタリング
ハードクラスタリングは、各データが1つのクラスタにのみ所属する手法です。
計算が高速で解釈も容易なため、大規模データの処理に適しています。
代表的な手法であるk-means法もハードクラスタリングに分類されます。
一方で、複数のクラスタにまたがる性質を持つデータには対応できない制約があります。
例えば、ある顧客が価格にもデザインにも強い関心を持つ場合、1つに限定して分類するのは不自然な結果を招くことがあるのです。
シンプルさが最大の強みですが、その裏には柔軟性不足という課題があります。
実務では「処理効率を優先する場面」で適しており、トレードオフを理解した上で活用することが重要です。
ソフトクラスタリング
ソフトクラスタリングは、各データが複数のクラスタに所属できる柔軟な手法です。
確率的にクラスタを割り当てる仕組みを持ち、類似度の評価には距離以外の指標も利用されます。
これにより、複雑なデータ構造をより現実的に表現できるのが特徴です。
代表的な手法としてガウス混合モデルやEMアルゴリズムがあります。
例えば、ある顧客が「価格にも品質にも関心がある」といった場合、ソフトクラスタリングなら複数クラスタに所属させることで実態に近い分析が可能です。
医療分野でも、症状が複数の疾患に関連するケースで応用されています。
ただし、解釈が難しく計算も複雑になるため、コストが高くなりがちです。
万能ではありませんが、複雑な対象を扱う場面で有効に活用できます。
まとめ
クラスタリングは、データを類似性に基づいてグループ化する「教師なし学習」の代表的な手法です。
新たなパターン発見や顧客セグメント分析など、多くの場面で活用できる一方、計算コストや評価の難しさといった課題もあります。
こうした分析を効果的に進めるには、専門的な知識とツールの活用が欠かせません。
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