ECサイトは実店舗と異なり、顧客と直接コミュニケーションを取るのが難しい傾向にあります。

そのため、顧客がどのようなことを考えているのか、どのようなニーズがあるのかをさまざまな分析によって把握することが大切です。

本記事では、ECサイトを分析するために活用できるEC分析ツールや、分析の進め方、使えるフレームワークなどを解説します。

EC分析が必要な理由

EC分析が必要な理由は、ECサイトの売上を最大化するためです。

ECサイトを開設後、ただ運営しているだけでは、売上の増加につながりません。

ECサイトに存在しているさまざまな課題を洗い出し、改善する必要があります。

なおECサイトを分析する際は、分析自体が目的化することは避けましょう。

あくまでも売上アップを最終目標とし、それに必要なデータを収集することが先決です。

EC分析に用いるツール5選

EC分析に用いるツールは主に次の通りです。

  • アクセス分析ツール
  • 流入分析ツール
  • ユーザー行動分析ツール
  • 競合サイト分析ツール
  • レポート作成ツール

それぞれ、以下で詳しく解説します。

アクセス分析ツールによってECサイトのアクセス数などを把握

アクセス分析ツールを導入することで、ECサイトのアクセス数をはじめとするさまざまなデータを把握できます。

アクセス分析ツールの中でも代表的なものがGoogle Analytics4(GA4)です。

GA4はGoogleが提供しているアクセス分析ツールで、有償版もありますが、無料で利用することもできます。

GA4を用いることで、ECサイトにどのようにして流入しているのか、またユーザーはパソコンかスマートフォンどちらでアクセスしているのか、どのページでユーザーが離脱しているかなどが判断可能です。

一方GA4は、ユーザーがECサイトの中でどのような行動を取っているのかといった、細かなユーザー分析はそれほど得意としていません。

より詳細にユーザーを分析するのであれば、後述するヒートマップをはじめとする、ユーザーの行動を分析するツールを併用しましょう。

流入分析ツールはユーザーがサイトを訪れた経緯が分かる

流入分析ツールとは、ECサイトを訪れたユーザーがどのような経緯で流入してきたかを分析するツールです。

流入分析ツールを代表するのがGoogle Search Consoleです。

Google Search ConsoleもGA4と同じくGoogleが提供するツールで、無料で利用できます。

Google Search Consoleを使用することで次のようなデータを分析可能です。

  • Google検索でECサイトが表示されるときの順位や表示回数、クリック数
  • Google検索でECサイトが表示されるときのキーワード

上記のようなデータを分析できるため、Google Search ConsoleはSEOに取り組む際に用いられる傾向にあります。

ユーザー行動分析ツールでユーザーが取る行動が分かる

ユーザー行動分析ツールとはECサイト内でユーザーがどのような行動を取っているのかを分析するツールです。

ユーザー行動分析ツールの例として挙げられるのがヒートマップです。

ヒートマップはページの中でユーザーが長く滞在した場所や、マウスポイントを動かした場所などを可視化できます。

そのため、ユーザーがページのどこに興味を持っているのか、反対にどこに興味を持っていないのかがひと目で分かります。

ヒートマップの中でもMicrosoftが提供するMicrosoft Clarityは、GA4やGoogle Search Consoleのように無料で利用可能です。

競合サイト分析ツールで自社の足りていない部分を洗い出す

ECサイトを運営していく上では、自社のサイトだけでなく競合のサイトも分析が必要です。

競合サイトを分析することで、自社のポジションや足りていない部分などを戦略的に把握できます。

競合サイト分析ツールの中には無料で利用できるものもあります。

例えばSimilerwebは、サイトのURLを入力することでどのようなアクセス状況なのかを分析可能です。

無料で利用できるのは簡単なアクセス分析のみですが、競合サイトのURLを打ち込むことで競合のアクセス状況を分析できます。

レポート作成ツールで運用業務を効率化

EC分析では分析結果のレポート作成も必要です。

EC分析のレポート作成専用のツールとして挙げられるのがGoogleが提供するLooker Studioです。

Looker Studioであれば、無料でGA4やGoogle Search ConsoleをはじめとしたEC分析ツールの結果をレポートとして作成します。

Looker Studioに蓄積されたデータは自動更新されるため、リアルタイムでデータをモニタリング可能です。

データを蓄積するツールを連携させることで、分析結果の共有をはじめとしてECサイトの運用業務を効率化できます。

EC分析ツールを活用する際に意識したい項目と指標

EC分析ツールを活用する際は次のような項目と指標を意識しましょう。

  • アクセス数
  • 流入経路
  • 利益率
  • 顧客単価
  • CVR
  • リピート率
  • 離脱率

以下でそれぞれの内容を見ていきましょう。

アクセス数

アクセス数とは一定期間においてユーザーがECサイトを訪れた回数です。

アクセス数には次のような細かい種類があります。

  • ユニークユーザー数:ECサイトを訪れたユーザーの数
  • PV数:ページが読み込まれた数

ECサイトの運営においては、ユーザーにサイトを訪れてもらうことが大前提です。

ユーザーがサイトを訪れなければECサイトで売上が発生するきっかけになりません。

そのため、ECサイト分析ではアクセス数を分析することが大切です。

流入経路

流入経路とはユーザーがECサイトに辿り着いた経路を指します。

流入経路として一般的なのがGoogle検索などの検索エンジンに掲載される広告、SNSからの流入などです。

流入経路を分析することで、ECサイトへの集客を増やすための施策立案につながります。

また、ECサイトの弱点を洗い出すのにも流入経路分析は効果的です。

利益率

ECサイトにおける利益率は、サイト全体の売上に対する利益の割合を指します。

利益率は次のような計算式で算出可能です。

  • 売上総利益÷売上高×100

売上総利益とは売上高から経費を差し引いた金額を意味します。

例えば売上高が1,000万円、経費が400万円だった場合の利益率は次の通りです。

  • (1,000万円-400万円)÷1,000万円×100=60%

ECサイトは売上が高くても利益が出ていなければ継続した運営はできません。

そのため、ECサイト分析によってどれくらいの利益が出ているかを確認しましょう。

利益が芳しくない場合、経費が多く掛かっている可能性があります。

コストを見直して利益率の向上につなげましょう。

顧客単価

顧客単価は顧客一人当たりが支払う購入金額の平均で、売上高を顧客人数で割ることで算出可能です。

顧客単価はアクセス数とCVRに並んで、ECサイトの売上を構成する重要な要素です。

例えば同じ客数であっても、一人当たりの顧客単価が高ければECサイトの売上が向上します。

顧客単価を引き上げる方法として挙げられるのがアップセル、クロスセルです。

それぞれ次のような意味があります。

  • アップセル:より高い商品を購入してもらう
  • クロスセル:関連する商品も購入してもらう

例えばアップセルを目指すのであれば、ECサイトでの人気商品のレコメンドが効果的です。

一方、クロスセルは関連商品のレコメンドが効果的です。

CVR

CVR(Conversion Rate)とはコンバージョンレートの略で、最終目標に到達した割合(コンバージョン率)を意味します。

サイトを運営する際は、ユーザーの行動がどこに辿り着くようにするのか、最終目標を設定します。

CVRはサイトを訪れたユーザーのうち、どれだけの人が目標に辿り着いたのかを示した割合です。

一般的にECサイトにおけるコンバージョンは商品の購入を指します。

そのため、ECサイトでのCVRとは商品の購入率ともいえるでしょう。

CVRは次のような方法で算出可能です。

  • CV数÷訪問数×100

リピート率

リピート率とは一定期間において商品を再度購入してくれたリピート客の割合です。

リピート率は次のような方法で算出できます。

  • 一定期間のリピート客の数÷ある期間の新規顧客数×100

ECサイトでリピート率が重要とされている理由の一つが、コストを掛けずに済むという点です。

一般的に新規顧客とリピート顧客では、前者の方が獲得するためのコストが掛かるとされています。

そのため、コストを抑えて売上を獲得するためにはリピート率を高めることが大切です。

例えばクーポンを配布する、メルマガ会員登録を促すといった方法によってリピート顧客の獲得につなげましょう。

離脱率

離脱率とは顧客がECサイトの特定のページで離脱した割合を示した指標です。

ページの離脱率は次のような方法で算出可能です。

  • 該当ページの離脱数÷該当ページのページビュー数×100

例えば商品購入ページで離脱しているのであれば次のような理由が考えられます。

  • 商品購入のボタンが分かりづらい
  • 商品購入のための入力項目が多い
  • 商品の詳細が分からなかった

商品購入ページでの離脱率が高ければ理由を分析して、改善に努めましょう。

EC分析を進める手順

EC分析を進める手順は一般的に次の通りです。

  • 目的と課題の洗い出し
  • 仮説を立案する
  • 必要なデータを収集する
  • EC分析に取り組む
  • 施策を実行する

目的と課題の洗い出し

EC分析を進める際は、なぜ分析するのか目的を明確にしましょう。

目的がはっきりしていないのにデータを見ても適切な改善策が講じられません。

目的を明確にすることで、達成のためにどのような施策が適しているのか具体的な道筋が見えてくるでしょう。

また、目的だけでなく自社が抱える課題を洗い出すことも大切です。

例えば離脱率が高いのであれば、顧客の離脱率の高さを課題として掲げます。

課題を洗い出すことで、目的も決めやすくなります。

仮説を立案する

目的と課題を洗い出したら仮説を立てましょう。

例えば売上をアップさせるという目標のために、離脱率を改善しなければならない場合は、次のような仮説を立案してみます。

  • 商品購入に当たって入力する項目が多いのではないか
  • 商品購入のボタンが分かりづらいのではないか

仮説を立案することでどのようなデータをどのように分析すればよいのかが明らかになります。

なお、仮説を立案する際は一つだけでなく、複数用意しておきましょう。

複数の仮説を用意しておくことでデータ分析の視点も増えます。

必要なデータを収集する

EC分析に当たって、必要なデータを収集していきましょう。

例えば離脱率が多いのであれば、ユーザー行動分析ツールによってユーザーがどのような行動をサイトで取っているのかデータを収集します。

自社の課題を解決するためのデータを把握して、適切なデータの収集につなげましょう。

EC分析に取り組む

必要なデータを収集したら分析に取り掛かります。

EC分析でポイントになるのはデータの比較です。

一つのデータだけを分析していても、見えてくる結果には限界があります。

そのため、次のような点に着目して比較しましょう。

  • 期間
  • 目標
  • 顧客の属性
  • 競合

EC分析では数値化されたデータを分析するだけでなく、数値から読み取れる顧客の心理までも想定することでより良い施策につながります。

施策を実行する

EC分析の結果に基づいて施策を実行しましょう。

施策を実行する際はPDCAサイクルに乗せることがポイントです。

PDCAサイクルとは次のフローからなる課題解決のためのフレームワークです。

  • P:Plan(計画)
  • D:Do(実行)
  • C:Check(評価)
  • A:Action(改善)

施策を実行するだけではECサイトの課題解決にはつながりません。

施策を実行したら結果を評価し、改善していくことで施策をブラッシュアップできます。

EC分析に活用できるフレームワーク4選

EC分析に活用できるフレームワークはPDCAだけではありません。

次のようなフレームワークもEC分析に活用可能です。

  • SWOT分析
  • CPM分析
  • セグメンテーション分析
  • CTB分析

以下で詳しく紹介します。

SWOT分析

SWOT分析は次のような項目で構成されます。

  • Strength:自社や自社の商品などの強み
  • Weakness:自社や自社の商品などの弱み
  • Opportunity:社会や市場の変化などで自社や自社商品などにプラスとなる要素
  • Threat:社会や市場の変化などで自社や自社商品などにマイナスとなる要素

SWOT分析をEC分析で活用することで、強みや弱みといったECサイトの現状を把握可能です。

またSWOT分析を実施することで、ECサイトの将来性やリスクも見えてきます。

将来性やリスクを予測しておくことで事前に対策を講じられます。

CPM分析

CPM分析とはCustomer Portfolio Managementの略です。

CPM分析では顧客を一定の基準によってパターンに分類して、分析していきます。

CPM分析で用いられる基準は購入頻度や購入総額などです。

これらの基準を用いて分析することでECサイトでの購入頻度が低い顧客を育成していくことが可能です。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は顧客を属性やニーズといった項目で細かく分類していく分析方法です。

セグメンテーション分析を用いることで、さまざまな顧客のニーズを把握できます。

顧客のニーズに対応することで満足度の向上が期待できます。

CTB分析

CTB分析とは顧客を次のカテゴリに基づいて分類する方法です。

  • Category(カテゴリ):ファッションアイテムや食品などの大きなカテゴリ
  • Taste(テイスト):色やサイズなどの顧客の好み
  • Brand(ブランド):顧客が好むブランドやメーカーなど

CTB分析によって顧客を分類することで、どの客層がどのような商品を購入するのか、どのような商品を購入しないのかが分かってきます。

EC分析はツールを活用してスムーズに進めよう

ECサイトの売上を最大化するためには、サイトを分析するEC分析が大切です。

EC分析を進める際はアクセス数、流入経路、利益率などに着目して施策を講じましょう。

施策を講じたらPDCAサイクルに乗せて結果を振り返ることで、施策の精度を高められます。

EC分析ではツールを活用するのがおすすめです。

アクセス分析ツールや流入分析ツール、ユーザー行動分析ツールなどを活用することで、スムーズにEC分析を進められます。

EC分析の際はSNSやレビューといった顧客の意見を参考にするのもポイントです。

リサーチ型テキストマイニングツール『KAIZODE』を使えば、SNSやレビューとして投稿された顧客の意見を分析し、どのような本音を抱えているのか分析できます。

EC分析に取り組もうと考えている方はぜひ『KAIZODE』の活用をご検討ください。

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